七夕に「運命の人」と出会っちゃうウッソみたいなホントの話。前編【女子鉄ひとりたび】4番線
裕子流鉄道旅に同行すると、日本が愛おしくなる。~宮脇灯子~
■夢のような乗り物で天空世界へ
次に向かったのは男山ケーブル。本線の八幡市駅に隣接する、ケーブルカー専用駅から出発するケーブルカー路線で、石清水八幡宮の参詣路線として古くから親しまれている。
長らく男山ケーブルの愛称で呼ばれていたが、本書制作中の2019年10月に石清水八幡宮参道(いわしみずはちまんぐうさんどう)ケーブルに改称、駅名も変更されている。
私はこの路線を「お正月だけ本気出しちゃう鉄道」と呼んでいる。
なぜなら、前述の通り利用者の大半は石清水八幡宮の参詣客。特に正月三が日は年間乗降客の5割を占めており、お正月とそれ以外で全く異なる顔を見せるからだ。
通常は15分おきの運転頻度、お客さんがいないと臨時運休することさえあるが、お正月は最短5分間隔に短縮されるとともに、運転速度も2倍に引き上げられる。
大晦日は終夜運転も実施されて、徹夜で夜通し運行する。なんだか、忘年会と新年会の幹事を任されて一生懸命頑張っている人のようで、応援したくなってしまう。
この日は、お正月でもなく普通の平日で、乗客は私ひとりだった。
貸切状態のケーブルカーに乗り込む。どの席でも選びたい放題だ。この車両の特等席は、運転台(実際には車掌がスタンバイする座席)の真横にある「かぶりつき席」だと思う。普段は子供のお客さんに遠慮してしまうが、堂々と一番前を陣取った。
ほどなくして出発。路線は若干カーブしながらも、ほぼ一直線。前方を見上げると、早くも終着駅が見えてきたが、後ろを見るといつの間にか高度が上がっていることにも驚かされる。背景には京都盆地の街並みと山並み、そして淀川が鮮やかに浮かび上がる。古くから走るこのケーブルは、シースルーのエレベーターなどがなかった時代、遠ざかる街並みを見ながら空に近づく、夢のような乗り物だったのかもしれない。
途中で列車の行き違い。この区間だけは上下2線となっている。
お客さんが多い時期だったら、すれ違う列車の乗客に笑顔で手を振りあうけど、下り方向の列車にもお客さんは誰も乗っておらず、そんな儀式もなく、列車は淡々と進んでいった。
(5番線・後編へ続く)
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■「女子鉄ひとりたび」出版記念イベント・レポート【その①】
初の本格的な紀行本の発売を記念して、東京・大阪のなんと二カ所!で、豪気にイベントを開催した。
その時の様子を数回に分けて振り返ってみよう。(告知ポスターは大阪会場)
開催:東京 2019年12月28日 八重洲ブックセンター本店 8Fイベント会場
大阪 2020年1月13日 旭屋書店なんばCITY店 特設イベントスペース
■水間鉄道に「女子鉄ひとりたび」ヘッドマーク電車が走った!
掲出日程:2020年1月11日~1月20日(10日間)
掲出車両:1003(青ライン/貝塚駅側)
走行日:1月15、16、18、19、20日